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オリジナルJUNE・僕は魔法使い4

続きです。魔法の内容は適当に考えたので、実際ネットで読んだ魔法とはあまり一致させていません。






 
「まず一つ目は、空が飛べるようになる魔法です」
「それは夢があるな」

どんな魔法かと思ったが結構良さそうだ。

「昼間に飛ぶと他の人に目撃される可能性があるので注意が必要ですよー」
「人に見られたらどうなるんだ? 魔法が使えなくなるとか」
「いえ、危ないことをしていると警察に通報されるかもしれません」

そううまくはいかないか。

「二つ目は、どんな場所からも家へ帰れる魔法です」
「帰るだけ? どこにでも行けるわけじゃないんだ」
「ええ、外で傷つけられた心を早く家に籠もって癒したいという時の魔法ですから」

……何か後ろ向きだな。
ベッドの体育座りをしたまま、女の子の説明は続く。

「三つ目は、相手の記憶をなくす魔法です。人の前で大失敗した時に便利ですよー」
「……まあね」

いや、便利な魔法なのは分かるんだが、どうしてこう消極的なんだろう。

「四つ目は、自分の嫌なヤツを遠ざける魔法です」
「……これも消極的だな」

これもよく考えれば便利なんだろうけど。何だかなー。

「五つ目は、二次元が三次元化できる魔法です」
「さっきの触手を出したやつか」
「好きな二次元キャラを立体化させる方が多いですね」
「生き物だけじゃなく宇宙船みたいな無機物も実体化出来るのか?」

僕は心持ち前のめりになって尋ねた。

「ええもちろん。でも部屋の中で宇宙戦艦を出すと建物が壊れますから注意して下さい」

好きなSFアニメの戦艦やモビルスーツを出せるのか。
ようやく試してみたい魔法が出た。
その魔法で出した物には乗れるんだろうか。
家が壊れるなら触れることは出来そうだ。
子供の頃大好きだった宇宙船やロボットが実際に見ることが出来ると分かり期待感が高まる。
空想の産物を実際の目で見たいという希望は、正にオタクの夢だと思う。

「他には?」
「六つ目は、自分の存在を周囲から消します。実際に消えるわけではなく透明人間のように見えなくなります」
「見えなくなるだけか」
「はい、好きな場所に忍び込んだり誰とも会話したく無い時に便利ですよ」
「……何でこんなせこい魔法が多いんだ? もっと世界が平和になるとか、環境問題が解決するとかいう魔法は無いのか?」
「えーオタクが夢見る魔法ですよ。そんな利他的な物があるわけないじゃないですか。自分の欲望に忠実な魔法しかありません」

そうか。別に本気で環境問題が解決出来る魔法が欲しい訳じゃないけど。
というかそんな強力な魔法があっても僕の手に余りそうだ。

「七つ目は、女の子の裸が透視出来る魔法です」
「……おい」

一気に夢がしぼんだ。あまりにも即物的過ぎる。

「八つ目は、女の子が目の前で脱ぎ出す魔法です」
「……おいおい。普通に犯罪にならないか?」
「はい。だからこれを選んだ方は二、三回魔法と使用すると、警察に捕まって犯罪歴がついて魔法を失う事が多いですねー」

これを選ぶ男は普段どんな生活をしているんだろう。しみじみと疑問だ。

「脱いだり、裸が見える魔法は女の子限定なのか? 男の裸は見えないのか?」

本当に裸が見たいわけではないけれど、どうしても見なくちゃいけないのなら男の裸の方がマシだ。

「もちろんです。オタクの夢の魔法なんですよ。むしろ男の裸なんか絶対見たくないという事で、がっちりガードされています。絶対に男の裸が透ける事はありません。同性愛者用にはカスタマイズできないんですー。すみません」
「いや、そこまで絶対に見たい訳じゃないから謝らなくても良いよ」

やっぱりどこか失礼な言い方だ。

「九つ目は、楽に死ねる魔法です。苦しみはまったくありません。死のうと思ったらさくっと死ねます。幸せな気持ちであの世に逝けます。これだけは使った後の使用感を聞くことが出来ないんですけどねー」
「…………」

もう言葉も出ない。
そりゃな。感想は言えないだろう。本人は死んでいるんだから。

「でもこれは一番喜ばれている魔法ですよー。いざとなれば思い切れない方が多いですからね」

何を思い切るんだろうと思うと、恐ろしくて詳しく訊けない。

「最後の十こ目はシークレットです。内容は選択するまで教えてあげられません」
「シークレットって。そんなものまであるのか」
「こういう秘密が好きな、レアアイテムマニアは多いですからねー」

九つ目までの魔法の内容を聞いて、ウキウキしながらシークレットを選ぶ男はいるんだろうか。
僕なら危なっかしくて絶対に選べない。

「レアな魔法ですよー。ちなみにこの魔法は四割ぐらいの選択者が満足されています」
「半分もないじゃないか。やはり胡散臭い魔法なのか」
「それは内緒ですー。美優を乗せて喋らそうと思ってもそうは行きませんよー」
「……」

もう好きにしてくれ。
胡散臭さでいうと、一つ目五つ目以外どれもこれも微妙な魔法過ぎるんだけれど。
どれかを押しつけられるのかと思うと溜め息しか出ない。
取り敢えず一番無難そうなのを選んで、早々にこの女の子には消えて貰った方が良いかも。

「あ、それと」
「まだ何かあるのかっ!?」

僕は飛び上がった。

「四〇歳まで童貞を守ると妖精に進化します」
「よ、……ようせい?」
「はい。エルフです。これは更になるのが難しいんですよー。おおかたの魔法使いは三〇代の内に魔法を使えなくなるかお亡くなりになるので」

今物騒な単語が出なかったか? 事故や病気だけでなく世をはかなんで消える男もいるに違いない。
僕でさえこの状況に泣きそうなんだから。

「……因みに妖精になるとどんな技が使えるんだ?」
「使える魔法が二つになってー」
「なってー?」
「耳がとんがります」
「み、耳の形が変わるのか?」
「はい。エルフですから」

にこやかに笑う悪魔の笑みを見ながら、自分の耳が不自然にとがる所を想像し背筋がぞっとした。

「心配しなくても大丈夫ですよ。魔法を選ぶまで美優ががっちり側について指導してあげますから!」

いらんわっ。と叫んで頭を抱えた。
何とかしなくては。今をやり過ごしても恐ろしい未来が待っている。
魔法を消すために犯罪を犯したり会社を辞めて無職になるなんて馬鹿なことは出来ない。
この年で再び生活が安定させるのは難しいだろうし。
僕は必死になって考えた。
それでは魔法を使えなくするのは残り二つ。

「じゃあもし僕が誰かとHして相手に突っ込めば…」
「童貞喪失で魔法が消えますね」

今付き合っている恋人は下になるのを嫌がるだろう。最初から選択肢に無かったし。
僕もしたいとは思わない。かといって赤の他人とHすればそれは浮気だ。
恋人にして欲しくない事は僕もするべきじゃない。

「オタクで無くなると言うのはどういう状態だとOKなんだ? 蔵書を捨てるとかテレビを見るのを止めるとかで良いのか?」

数年我慢して魔法が消えるなら喜んで見るのを我慢出来る。
女の子は片手を顔の横で広げ小首をかしげてポーズを作った。
いちいち大げさな動作にいらっとする。

「オタクの心を持ち続けている限りは、コレクションを処分しても関係ないですよー。趣味の時間を持たなくなっても、それは我慢しているというだけでオタクで無くなった訳じゃないですから」

好きだという嗜好が無くならない限りは、オタクのままだと言うことか。
一生SF好きは治らないだろうと諦めている。
こういう嗜好なのは子供の頃からで、治そう思って治るならとうの昔に治っているはずだから。
オタクで無くなるというのは、根本的に性格を変えなくては難しいかもしれない。
何気に難しい条件だな。
僕は途方に暮れた。

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