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オリジナルJUNE・僕は魔法使い2

続きです。
タイトルを見れば展開は読めると思いますが、せっかく思いついたので。



「私の名前は貴方が決めて下さい」

女の子はにこやかに小首を傾げる。

「ふざけるな。君の名前は?」
「デフォルト名は美優(みゆ)でーす。年齢は永遠の一七歳。性格は五つの中から選べます。スリーサイズも好みで変更できます」

これは頭が残念な女の子の方だ。
それとも誰か知り合いが、悪趣味なサプライズとしてこの少女を送り込んできたのか。
知り合いにはそういうことをするようなタイプは居ないはずだが。

「君は入り込む部屋を間違えているんじゃないか? 僕は君が誰か分からない。警察には言わないから、ここからさっさと出て行ってくれ」

僕はなるべく穏便に済ませようとした。
もすうぐ聡人が来るのでややこしいところを見せたくなかったからだ。

「あら、ここであっていますよ。青野雅秋さん。本日から貴方は魔法を使える資格が出来たので、美優がナビゲーターとして派遣されましたー。貴方が一人前の魔法使いになるまでは側にいて頑張ってナビゲートするので、よろしくお願いしまーす」
「魔法使いって……」

いよいよやばい女の子だ。

「あ、魔法っていきなり言われても、実際に見ないと本物かどうか分かりませんよねー。ではどんな魔法が使えるようになるのか、特別に美優がやってみます。注目ーー☆」
「!」

いらっとする口調に更に文句を言おうとして開いた口が開きっぱなしになった。
目の前で女の子の体がふわりと宙に浮き出したからだ。

「え、え、ええええ?!」

無重力の中で浮かぶように体がゆっくりと舞い上がり、それとともに上掛けがずり落ちてしまう。
……下半身もしっかり裸だった。

「どうですかー。空を飛べる魔法です。楽しいですよー」

きゃっきゃとした口調でゆっくりと回転しながら宙を漂っている。
後ろから前から下から上から色々丸見えだ。
姉と妹に囲まれて育ったが女性の裸をこんなに間近で見たのははじめてだった。
決して見たくは無かったが。

「分かったから! 早く降りて隠すところを隠してくれ。女の子なんだからもっと羞恥心を持て」

どこに視線を向ければいいか分からないまま必死で頼む。

「えー結構喜ばれる魔法なんですけどね。時速お気に召しませんでしたか?」
「いや魔法じゃなくて」

どこから突っ込めばいいのか分からない。
えへっと笑った女の子は、ベッドの元の場所に戻り、上掛けで下半身を隠した。
豊満な胸が見えそうで見えない。
ノンケの男なら刺激的な光景だろうが、僕にとってはただの邪魔者だ。
ようやく落ち着いてほっとしていると、女の子は一冊の雑誌を取り出した。

「じゃあもう一つ魔法を試してみますね。これは紙に描かれた絵が現実になる魔法ですよ」
「うわっそれは!」

僕が普段隠しているアニメ雑誌だ。
普段は恥ずかしくて買わないけれど、好きなアニメの設定資料が初公開というので我慢できずに買ってしまった。
念入りに隠していたのに、いつの間に家捜ししていたのか。

「どれにしようかなー。………これがいいかな。これにしよおっと」

女の子は雑誌をぱらぱら捲ってあるページに目をとめた。
彼女が開いたのは、この秋から放送予定の漫画原作のアニメ紹介ページだった。

「この『マジカル少女☆レイディー・レイディ』の登場人物紹介から……」

アニメの主人公レイディー・レイディは小学五年生の明るい女の子な設定だ。
茶色の髪のツインテールで、美形で優しいお兄ちゃんが一人。
遠い星からやって来た母親の残したペンダントを使って敵と戦うはず。
ペンダントをどう使うかは覚えていない。
光るんだったか長くなるんだったか。
本当にそんな少女が現実に出てくるのか。
不審な目で見守っていると、女の子が軽く指揮をするように人差し指をくるくると振り、えいっとかけ声をかけると、どすんと大きな音を立てて床がきしんだ。
キシャーーーッという得体の知れない叫び声を上げて、タコがヘドロを被ったような形の灰色の軟体動物が目の前に現れた。
天井ぎりぎりまでの大きさで幾本もの触手が気色の悪い動きでうねっている。

「そっちかっ」

何故主人公のレイディを出さなかったのか。
と言うかこれは二話で出てくるドロドロ怪人じゃないか。
二メートルぐらいの大きさになっているが、元々のカットが小さかったためか、全体の輪郭がぼやけて版ずれまでしている。
リアルといえばかなりリアルだ。

「うわーっ」

呆気にとられていた僕は、床の惨状に気付き悲鳴を上げた。
ドロドロ怪人からたれる泥で床に泥溜まりが出来ていた。
気に入っていたカーペットが泥まみれだ。
触手が上下左右に動く度に、ぼたぼたと音を立てて泥が撒き散らされていく。
賃貸物件なのにどうしよう。
あわてふためいている内に触手が伸びて僕の体に巻き付いた。
濡れた泥が表面を覆っているざりっとした触手の感触が肌の上を滑って気持ち悪い。

「おいっ。助けてくれ。何とかしてくれ」

三本の触手が体に巻き付き、体の上で蠢く生理的嫌悪で鳥肌が立つ。

「これで魔法の存在を信じて貰えましたかー?」

助けを呼ぶ僕に脳天気な笑顔で尋ねる女の子を見て気を失いそうになった。

「分かった。信じるから。信じるから何とかしてくれっ」

僕も必死だ。
触手に萌えたことはないが、触手に襲われて悲鳴を上げるゲームの女の子達の気持ちはよく分かった。
これからは触手物を見る度に、この感触を思い出しそうだ。

「美優を信じてくれて嬉しいです。それはすぐに消えるから大丈夫ですよー」

女の子の言葉が終わる前、唐突にドロドロ怪人は消えた。
床の泥も一緒に消えて無くなっている。
前と同じ綺麗なままだ。
でも触手に絡みつかれた感触は消えずに僕はその場で蹲った。
気持ち悪かった。
どうして誕生日にこんな目に遭わなきゃいけないんだ。

「さて、では魔法を信じて貰った所でナビゲーターのお仕事をさせて貰いますね」

空気を読まない女の子は、一応真面目な話をするつもりなのかベッドの上で正座した。
何か言い返したかったが先ほどの触手で気力が尽きた。
話を聞いて消えてくれるならいくらでも聞く。


「三〇歳を過ぎても童貞なら魔法が使えるようになるという伝説をご存じですか?」

女の子はにこやかに語り出した。

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